バイオガス装置の比較
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比較項目 |
一段式バイオガス装置 |
二段式バイオガス装置 |
有機物の分解過程 |
加水分解→酸生成→酢酸生成→メタン生成 |
一段目: 加水分解→酸生成 酸生成相
二段目: 酢酸生成→メタン生成 メタン生成相 |
バイオガスの品質 |
二段式より低い
加水分解ガスと混ざってしまうため |
一段式より高い |
プロセスの安定性 |
不安定になり易い
原料の導入が早すぎると酸敗現象が起きる |
制御し易い |
基質の滞留時間 |
二段式と同じ分解効率を得るためには
長い滞留時間が必要 |
一段式より短い |
総 評 |
二段式より装置の構造が簡単 |
プロセスや構造が一段式より複雑
分解効率が一段式より高い |
一段式バイオガス装置と二段式バイオガス装置の比較
一段式が良いのか、それとも二段式か、ドイツ技研の見解を下にまとめます。固形物濃度は、15%以下とします。
ここで、「二段式」とは、加水分解をメタン生成相から分離して、基質を前もって処理することです。それにより、
メタンの生産性を上げようとするものです。適した加水分解により、基質を分解し易くしたり、容積負荷を高めたり、
滞留時間を短縮し、必要となる発酵槽(バイオリアクター)の大きさを小さくできます。
ただ、二段式にしても、その分離する意味が十分でなくなる場合もあります。原料として、例えば、牛の排泄物が
使われる場合です。その理由は、このような基質では加水分解が既に終わっているからです。微生物の活力が
低下しています。
これまでの内容(パーコレーター,昇降型攪拌機,バイオ炭,加水分解の分離)で共通していることは、いずれも
自然現象に基づいて開発されています。特にバイオガス関連では、「自然」を理解することが重要です。それを
変えたり、無視することはできません。
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特に注意すべき中間生成物 |
消化または分解の目的 |
牛の場合 |
プロピオン酸(C3H4O2)
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牛の体力をつくるため
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バイオガス装置の場合 |
酢酸(C2H4O2) |
メタンを生成するため |
中間生成物
牛とバイオガス装置では、有機物を体内に摂取したり、装置に導入する目的により、注意すべき中間生成物が違います:
上記の分子式を比較してみると、バイオガス装置の場合は、炭素の原子数が牛の場合より減っています: C3 → C2。
従って、メタンを効率よく生成するには、牛が有機物を消化する段階より、もう一段階 進めた分解が必要になります。
このようなことから、バイオガス装置を運転する際には、特に酢酸の濃度等に注意する必要があります。
このページでは、まず、バイオガス装置のメタン発酵原理を 牛の消化原理(前ページの図)に基づいて説明いたします。
その後、中間生成物(有機酸)に着目します。これはバイオガス装置が正常に運転されているかどうかを知るために
役立ちます。最後に、一段式と二段式のバイオガス装置を比較します。一段式の方が有利な場合もあります。
バイオガス装置の原理
牛の飼料に代わり、バイオガス装置に原料として有機物が導入されます。それがメタンになるまでの過程を
下記の4段階に分けることができます:
1) 液化段階(加水分解)
有機物が細胞外酵素により、
単純な有機化合物(糖,アミノ酸,脂肪酸など)に分解される。
2) 酸生成段階
前段階の生成物が酸生成菌により、
有機酸(酪酸,プロピオン酸)やアルコールなどになる。
この段階では、メタン生成に直接つながるアセタート(酢酸塩)や水素,二酸化炭素も生成される。
3) 酢酸生成菌
前段階で生成された有機酸とアルコールが酢酸生成菌により、
酢酸や二酸化炭素,水素になる。
4) メタン生成段階
前段階の生成物は、メタン生成菌により、
メタンや二酸化炭素,水になる。
ドイツ技研有限会社 Doitsu Giken Ltd.
Tel.: 042-629-0336
© 2018 Doitsu Giken Tokyo Japan
パーコレーターが採用された二段式バイオガス装置
© 2018 Doitsu Giken
次ページへ続く
活性炭
微粒子の場合には造粒
または
バイオフィルターを製造
昇降型攪拌機
考案: Heinz Brauer
消化液をバイオ炭に、バイオフィルターに
きっかけとなったのは、アマゾン川の流域で発見された「テラ プレタ」
(Terra Preta, 黒い土)といわれています。消化液や加水分解残渣を
200℃ 以上で炭化して、バイオ炭(Biochar)や活性炭を作ることが
できます。
バイオ炭をバイオフィルターにすることも可能です。それにより、
バイオガス装置で生産されるバイオガス中のCO2濃度を下げることが
できます。天然ガスと同様の品質にすることが目標とされています。
発酵槽のコンパクト化
異相界面の物質移動現象を分析することにより、攪拌機の性能を上げ、
発酵槽をコンパクトにすることができます。その一例を下に示します:
連結された多孔板が 発酵槽内を軸方向に往復運動します。
高い物質移動容量係数を得ることができます。
パーコレーター
長所 短所 |
攪拌機が不要 |
比較的大きな容積が必要 |
操業経費や修理費が低い |
複数台 必要になることが多い |
新素材
牛の消化原理 バイオガス装置の基本
この図に関しては 次ページをお読みいただけます。
基礎研究力強化
ここで、基礎研究力とは、自然現象や経験から得られる知識を意味します。ドイツ技研は、
その知識を深める情報を提供し、企業の原動力である技術開発を支援いたします。
このページでは、バイオガス生産に関した基礎研究力が、どのような開発に繋がっているかをご紹介いたします。
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近年の傾向: パーコレーターを使った加水分解
バイオガス装置で採用されるパーコレーター(浸透装置)は、牛の消化原理と比較できます。牛が摂取した飼料は、
第一胃と第二胃の中で唾液と混合されます。そこで 飼料中の有機物は加水分解されます。比較的大きな物は
口に戻り、細かくなった物は次の第三胃に入ります。これに似た機能をもつのが下記のようなバイオガス装置です:
パーコレーターは、特に有機物中(基質)の固形物濃度(TS)が15%以上のときに適しています。